「自分ではたくさん走ったつもりなのに、トレーニングの数値が良くならない」
「ちゃんと走っているのに数字(記録)が良くならない」
「なんなら悪くなっている気がする」
ガーミンなどのスマートウォッチをつけてランニングをしている方
そう感じたことはありませんか?
8月は前月より走行距離を増やして故障もなく走り切った月で、
自分自身としては満足でしたが、その結果がこれでした。
VO2max、54から52に低下
トレーニングステータスは「アンプロダクティブ」
日本語にすると「非生産的」・・。ここ最近で一番走った月に、時計から「非生産的」って・・。
ちょっとでも良かったところあるだろと思って
半ばイライラしながら7月と8月のデータをAIに渡してみたところ
返ってきたのは、ガーミンとは真逆の結果でした。
同じペースで走ったときの心拍は、6〜7bpm下がっていた。疲れても走りが崩れなくなっていた。VO2maxは下がったのに、走りの中身は良くなっている。
とのことでした。
いいコメントが出てホッとしましたが、
同じ月のデータなのに、なぜこんなことが起きたのか。
スマートウォッチを使ってトレーニングの評価が悪くてちょっと落ち込んでしまっている方も
逆にトレーニングの評価が良い方も
データの見え方のバリエーションを増やすことが記事になっていますので是非ご覧ください。
【この記事でわかること】
・走行量を増やしてもVO2maxが下がることがある理由
・「アンプロダクティブ」の意味と受け取り方
・数字が伸び悩んだとき、どこを見れば成長が見つかるか
・自分のデータで同じ分析をするためのプロンプト
※この記事はガーミンユーザー向けの内容が中心です。機種による対応の違いは本文中で触れています。
先に結論:心拍とフォームの持ちは良くなっていた
AIに分析してもらった結果、大きかったのはこの2つです。
・同じ速度で走ったときの心拍が下がっていた
| 速度帯 | 7月 | 8月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 9-10km/h | 138.6bpm | 132.4bpm | −6.2bpm |
| 10-11km/h | 138.0bpm | 130.6bpm | −7.4bpm |
同じペースなのに、心拍が6〜7bpm低い。(っていうことはもっと楽に長く走れる体になっているってことですよね)
・疲れてもフォームが崩れなくなっていた
| 月 | 終盤にフォームが崩れたラン |
|---|---|
| 7月 | 7本中2本 |
| 8月 | 9本中0本 |
7月は7本中2本で、終盤にフォームが崩れていました。8月は9本走って、崩れたランがゼロ。
VO2maxは下がった。でも実際の走りの中身は良くなっていた。
同じ月のデータなのに、数字同士が真逆を向いていました。
8月に何をしたか
まずは7月と8月の走行距離を並べます。
(ガチランナーの方々にはすいません、生ぬるい感じなのでお手柔らかに見てください🙇)
| 項目 | 7月 | 8月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 月間距離 | 47.7km | 70.9km | +48.5% |
| 総走行時間 | 298分 | 483分 | +62% |
| 60分超の走行 | 1回 | 3回 | +2回 |
7月までは「フォームを整える」ことに集中していましたが、8月は「量を増やしても崩れないか」を試す月にしました。
7月のトレーニングのまとめ、トレーニングのきっかけはこちらからご覧ください。
VO2maxが下がっていく
そもそもVO2maxって何か簡単に説明します。
最大酸素摂取量のことで、1分間に体重1kgあたりどれだけの酸素を取り込めるかを示す数値です。単位はml/kg/分。

持久力の指標としてよく使われ、数値が大きいほど
「エンジンが大きい」=たくさん酸素を取り込んでエネルギーを作れる=長く・速く動き続けられる、ということです。
マラソンのキプチョゲ選手は70〜85ml/kg/分と言われています。
本来は専門の設備で測定するものですが、ガーミンは心拍とペースの関係から推定値を出してくれます。走るたびに更新されるので、日々の変化を追いやすいのが利点です。
ただし推定値なので、実測とは違います。この「推定である」という点が、あとで効いてきます。

7月中旬から8月頭にかけては、むしろ上がっていました。
7/13:52.8
7/20:53.6(表示は54)
8/03:53.6(表示は54)
ここまでは順調です。7月20日に54まで上がって、そのまま維持していました。
問題はここからです。

8/10:52.7
8/17:52.3
8/24:52.2
きれいに下がり続けています。
そして下がり始めた時期が、走行距離を増やし始めた時期と一致していました。
そして「アンプロダクティブ」

悲しいお知らせでした。
8月22日、トレーニングステータスが「アンプロダクティブ」 に・・
正直、けっこう落ち込みました。
ここで一度、トレーニングステータスがどういう機能なのかをおさらいしておきます。
私が受けた「アンプロダクティブ」は、練習量が足りないわけではなく、負荷は適切なのに数値が下がっている状態を指します。

月間距離を増やして、故障もなく走り切った月に「非生産的」
走っている感覚は悪くなかったし、むしろ7月より走れている実感もあったし
ちょっと腑に落ちないですよね
今回の解析に使ったプロンプト
そこでデータをAIに渡して、自分で確かめてみることにしました。
今回使ったのはClaudeです。ガーミンコネクトからFITファイルをダウンロードして、チャット画面にそのまま添付するだけで分析してくれます。
ちなみに無料版でもファイルの添付と分析はできます。1つのチャットに添付できるのは最大20ファイルまで。ただし無料版はメッセージの送信量に上限があり、ファイルを添付するとその分早く上限に達します。


今回は16ファイルを扱ったので、無料版だと途中で止まる可能性があります。まず数ファイルで試してみて、続けたければ有料版を検討する、という順番がいいかもしれません。
制限の詳細は変わることがあるので、最新の情報は公式サポートページで確認してください。参考:https://support.claude.com
ファイルの出し方は以前の記事にまとめました。
実際に使ったプロンプトがこちらです。
【月をまたいだ比較をする】
複数のFITファイルを添付します。
Garminで記録したランニングデータです。
7月と8月に分けて、以下を比較してください。
・月間の走行距離と走行時間
・同じ速度帯(1km/h刻み)で走ったときの平均心拍
・同じ速度帯での上下動比、接地時間、ピッチ
各項目のサンプル数も表示してください。
サンプル数が少ない項目は
参考値であることを明記してください。
【ラン1本の中で疲労の影響を見る】
添付したFITファイルを1本ずつ、
走行時間で4等分してください。
そのラン内で共通する速度帯だけを抜き出し、
序盤(1/4)と終盤(4/4)で
上下動がどう変化したかを比較してください。
終盤に上下動が増えているランがあれば、
何本中何本かを教えてください。
ポイントは「同じ速度帯で比べてください」と指定することです。
これを言わないと、ペースが違うもの同士を比べた結果が返ってきます。ゆっくり走れば上下動は自然に小さくなるので、比較になりません。
もう1つ、「サンプル数も表示して」も入れておくと安心です。数十秒しかないデータから断定的な結論が返ってくるのを防げます。
対象は16回のラン、秒単位で46,103レコード分のデータでした。素人の私には絶対にできない分析ですが、頼めば数分でやってくれます。
出てきた指標の意味
分析結果に入る前に、この記事で出てくる指標を簡単に説明しておきます。
上下動比
1歩ごとの上下の揺れを、歩幅で割った割合です。小さいほど、上下に跳ねずに前に進めていることになります。
接地時間
足が地面についている時間です。ミリ秒で測ります。短いほど効率的とされますが、ペースが遅いと自然に長くなります。
ピッチ
1分あたりの歩数です。
ピッチを上げると、1歩が小さくコンパクトになります。その結果、接地時間が短くなり、上下動も減る傾向があります。足が体の前に出すぎる「オーバーストライド」も起きにくくなるため、膝や股関節への負担が軽くなるとされています。
ピッチを増やすことでランニング中の股関節・膝関節への負担を大幅に減らせるという研究(2011年、Medicine & Science in Sports & Exercise掲載)が紹介されています。参考:https://runners-core.jp/ランニングノウハウ/8045/
Garminはこれらの指標を、全ユーザーのデータをもとにパーセンタイルで5段階に分けています。年齢別・男女別ではなく、全ランナーの中での位置づけです。
| 区分 | 上位 | 上下動 | 上下動比 |
|---|---|---|---|
| パープル | 95%超 | 6.4cm未満 | 6.1%未満 |
| ブルー | 70〜95% | 6.4〜8.1cm | 6.1〜7.4% |
| グリーン | 30〜69% | 8.2〜9.7cm | 7.5〜8.6% |
| オレンジ | 5〜29% | 9.8〜11.5cm | 8.7〜10.1% |
| レッド | 5%未満 | 11.5cm超 | 10.1%超 |
(Garmin公式マニュアルより。胸部センサー装着時の数値)
参考:https://www8.garmin.com/manuals-apac/webhelp/fenix8series/JA-JP/GUID-AB93CE2E-BB5F-4C1A-8EDD-F490333D01FE-6046.html
接地時間については、Garmin公式サイトに「一流ランナーになるとさらに短く、多くは200ms未満」「経験豊富なランナーになると、ほぼすべての人が300ms以下」という記述があります。参考:https://www.triathlon.style/19725
ただしペースによって大きく変わる指標なので、絶対値だけで判断はできません。ゆっくり走れば誰でも長くなります。
私の8月の数値は上下動比9.14%、接地時間257.4msでした。上下動比はオレンジ寄りのグリーンといったところです。
■ 機種によって取れるデータが違います
ここで一点、注意があります。
上下動や接地時間といったデータ(ランニングダイナミクス)は、機種によって対応・非対応が分かれます。エントリーモデルのForerunner 55は非対応で、トレーニングステータスの機能もありません。
心拍とペースだけなら記録できるので、この記事で紹介した「同じ速度での心拍比較」はできます。ただフォーム分析まで含めてやりたい場合は、Forerunner 165や265以上のモデルが必要です。
これから購入を考える方は、対応機能を確認してからのほうが安心です。
■ 悪化していた数字もありました
正直に書いておくと、悪くなっていた指標もあります。
月全体をまとめて平均すると、同じ速度で走ったときの上下動比や接地時間がわずかに増えていました。
| 指標(9-10km/h) | 7月 | 8月 |
|---|---|---|
| 上下動比 | 8.92% | 9.14% |
| 接地時間 | 252.9ms | 257.4ms |
数字としては小さな差です。ただ、良くなってはいません。
ここは正直に受け止めています。
ただ、心拍と、疲労時のフォーム維持という、私にとって一番大事な部分ははっきり良くなっていました。全部が良くなる月なんて、そうそうないと思っています。
なぜVO2maxは下がったのか
ここまでの結果を見て、AIに聞いてみました。
「距離も増やして心拍も下がっているのに、なぜVO2maxが下がるのか」
返ってきた答えはこうです。

ガーミンのVO2max推定は、高強度で走ったときのデータをもとに計算される。低強度中心の練習を続けると、計算の材料になるデータが減っていく。
8月は距離こそ増やしましたが、ペースは上げていません。だから推定値が下がった。
有酸素能力が落ちたわけではなく、測り方の問題だったということです。
「アンプロダクティブ」の正体
トレーニングステータスは、VO2maxとトレーニング負荷をもとに判定される仕組みです。
アンプロダクティブは「負荷は適切だが、フィットネス水準が低下している」状態を指します。
つまりこの判定は、VO2maxの低下と連動しています。
私の場合、VO2maxが下がった原因は高強度のデータが減ったことでした。そう考えると、低強度中心の練習を続けている限り、この判定が出やすくなるのは自然な流れだと思っています。
ただしこれは私の推測です。Garminがアルゴリズムの詳細を公開しているわけではありません。
参考:Garmin公式マニュアル(トレーニングステータス)
https://www8.garmin.com/manuals-apac/webhelp/edge830/JA-JP/GUID-B41BC394-E65B-4F52-892E-3B1521F3B292-9902.html
いずれにしても、失敗の証明ではなさそうです。
これを知っていれば、8月22日にあんなに落ち込まなくて済んだかもしれません。
数字に出ないところも変わっていた
指標とは別に、身体の状態も記録していました。
やり方は単純で、走り終わったあとに痛みや張りを0〜10でメモしているだけです。0が「まったくなし」、10が「最大」。同じ基準で毎回つけていれば、数字の上下で傾向が見えてきます。
・右臀部の張り:3 → ほぼ0
・下腹部の意識:常に必要 → 自然に使える
・8月31日:70分超を症状0で完走
距離を49%増やして、故障が悪化しなかった。
これは数字には出にくい成果です。でも故障歴のある身としては、これが一番ありがたい変化でした。
で、9月はどうするのか
ここまで書いておいて「じゃあ結局どうするの」という話です。
私は9月も低強度中心を続けます。
理由は3つあります。
同じ速度での心拍が下がっている。疲労時のフォームが崩れなくなっている。そして故障が悪化していない。
VO2maxとトレーニングステータスは下がりましたが、それは測り方の問題だと分かりました。だったら、実際に良くなっている指標のほうを信じます。
もちろん、いずれは強度を上げる時期が来ます。ただ今は、まだ土台を作る段階だと考えています。
この判断が正しかったかどうかは、9月のデータを見れば分かります。それもまた記事にします。
AIを使ってよかったこと
今回いちばん実感したのは、これです。
自分ひとりでガーミンのアプリを眺めていたら、「VO2maxが下がった」「非生産的と言われた」で終わっていました。
たぶん8月は失敗した月として記憶されたはずです。
でもデータを細かく切り分けてもらったら、心拍もフォームの持ちも良くなっていた。
素人でも、AIに頼めば専門的な分析ができます。そして数字が伸び悩んでいるときほど、その細かい分析に助けられます。
デバイスが出す判定は、たくさんある指標のうちの1つでしかありません。
■ 数字が良くならないときに見るべきもの
今回の経験から整理したことです。
①1つの指標だけで判断しない
VO2maxだけ見れば「悪化」。同速度の心拍を見れば「改善」。同じ月の話です。
②見る粒度を変えてみる
月全体の平均で見るか、1本のラン内で見るか。それだけで見える景色が変わります。
③デバイスの判定は仕様を知って受け取る
「アンプロダクティブ」は必ずしも失敗の証明ではありません。何をもとに判定されているのかを知っておくと、受け取り方が変わります。
④主観の記録も残しておく
症状の推移は数字に出ませんが、故障を避けるうえでは一番大事な指標かもしれません。
ただし断定はしません
ここまで書きましたが、この結論を鵜呑みにはしていません。
7月・8月の2か月分、16回のランという限られたデータです。気温も体調もコースもバラバラで、精度としては粗いものです。
9月も同じ見方で確認して、傾向が続くかを見ていく予定です。
大事なのは正確な数値を出すことではなく、変化の方向を掴んで次に活かすことだと思っています。
まとめ
・8月は走行距離を49%増やしたがVO2maxは54→52に低下
・ガーミンは8月22日から「アンプロダクティブ」と判定
・しかし同速度での心拍は6〜7bpm低下していた
・疲労でフォームが崩れたランは7月2本→8月0本に
・上下動比など一部の指標はわずかに悪化していた
・右臀部の症状は3→ほぼ0まで改善
・9月も低強度中心を続ける判断をした
ガーミンにボロクソ言われた月でしたが、見方を変えると違う景色が見えました。
数字が伸び悩んでいる方は、その数字が何を測っているのかを確認してみてください。測り方を変えると、同じ月がまったく違って見えてくるかもしれません。




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