「遅いペースでばかり走っているけど、これで本当に速くなるのか」
「タイムが変わらないから、成長しているのか分からない」
低強度中心の練習をしていると、こう思うことはないでしょうか。私もそうでした。
7月分のGarminデータをAIに渡したとき、提案されたのが「同じ心拍で走れるペース」を比較する見方でした。
結果、「心拍120〜130で走ったときのペースが、1か月で26秒速くなっていました。」
なんて言われたんです。

AIさん、さすがにうまいこと言いすぎじゃないですか?
今回は7月の7本という限られたデータで、走った日の気温も、体調も、コースもバラバラ。
それを平均した数字なので、精度としてはかなり粗いものでした。
期待していないなんて言ったら嘘になりますが、私個人としては
「26秒速くなった」というより「速くなっている方向に見える」くらいの受け取り方にしました。
大事なのは正確な数値を出すことではなく、変化の方向を掴んで次の練習に活かすことだと思っています。同じ見方を試す方も、参考程度に見てもらえたらと思います。
【この記事でわかること】
・「同じ心拍でのペース」という指標の見方
・1か月で何がどう変わったのか(実データ)
・自分のデータで試せるプロンプト
ペースを見ても成長が分からない
私は今、心拍150未満を目安にした低強度中心の練習をしています。
この練習方法の困ったところは、成長が実感しにくいことです。

タイムを意識していないとはいえ、何かしら成長しているところは知りたい・・
タイムを狙って走っていないので、ペースは上がりません。むしろ夏場は暑さで遅くなります。
Garminのアプリを開いても「今日も6分台か」で終わってしまう。
6月と7月のセッション平均を比べてもこの通りでした。
| 月 | 平均ペース | 平均心拍 |
|---|---|---|
| 6月 | 6分19秒/km | 143.3bpm |
| 7月 | 6分11秒/km | 138.9bpm |
8秒速くなっていますが、心拍も4.4bpm低い。
走った日の気温もペース設定もバラバラなので、この数字だけでは何とも言えません。
AIから提案された見方
7月分のFITファイルをAIに渡して比較を依頼したとき、こんな提案がありました。

ペース同士を比べるのではなく、心拍帯を揃えて『同じ心拍でどのくらいのペースで走れていたか』を比較する方法があります。有酸素能力の変化を見るなら、この見方のほうが直接的です。
言われてみれば当たり前なのですが、思いつきませんでした。
Garminのアプリで見えるのは「平均ペース」と「平均心拍」の2つの数字です。それを掛け合わせるという発想がなかった。
結果:低心拍域で26秒速くなっていた
秒単位のデータを心拍帯ごとに分けて、それぞれの平均ペースを出してもらいました。
| 心拍帯 | 6月 | 7月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 120-130 | 6分22秒/km | 5分56秒/km | 26秒短縮 |
| 130-140 | 6分16秒/km | 5分58秒/km | 18秒短縮 |
| 140-150 | 6分12秒/km | 6分11秒/km | 1秒短縮 |
| 150-160 | 6分15秒/km | 6分29秒/km | 14秒低下 |
心拍120〜130という、かなりゆっくりの領域で26秒速くなっていました。
同じ心拍で26秒速く走れるということは、同じ負荷でより前に進めているということです。
高心拍域では逆に遅くなっている
ただし表を見ると、心拍150〜160では14秒遅くなっています。
これをAIに聞いてみました。

低心拍域での改善は有酸素ベースの向上を示しています。
一方で高心拍域が遅くなっているのは、7月に高強度の練習をほとんどしていないためと考えられます。
使っていない能力は落ちる、という自然な結果です。
さすがAI、直球です。「今は暑いから」とか言ってくれると期待していましたが納得です。
7月は心拍150未満を目安に走っていたので、高心拍域のデータ自体が少ない。
7月の150-160帯のサンプルは1,375秒(約23分)しかありません。
低いところは伸びて、高いところは落ちている。低強度中心の練習をすると、こういう形になるということです。
これはこれで方針通りなので問題ないと考えています。むしろ狙い通りとも言えます。
落とし穴:時間帯をそろえないと数字が変わる
ここで注意点があります。
7月後半は朝6時台に走ることが多くなっていました。朝は涼しいので心拍が下がります。
そこで時間帯を揃えて比較し直してもらいました。
【日中ラン同士の比較】
| 心拍帯 | 6月日中 | 7月日中 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 130-140 | 6分21秒/km | 5分44秒/km | 37秒短縮 |
| 140-150 | 6分13秒/km | 6分12秒/km | 1秒短縮 |
| 150-160 | 6分16秒/km | 6分41秒/km | 25秒低下 |
日中ラン同士で比べても、心拍130〜140で37秒速くなっていました。
暑い時期に日中を走った同士の比較なので、これは条件がそろっています。
自分のデータで試せるプロンプト
同じ分析は誰でもできます。GarminからFITファイルを出して、AIに添付するだけです。
ファイルの出し方は以前の記事にまとめました。
実際に使えるプロンプトを置いておきます。
【心拍帯別のペースを比較する】
複数のFITファイルを添付します。
これらはGarminで記録したランニングデータです。
期間を2つに分けて、心拍帯ごとの平均ペースを
比較する表を作ってください。
心拍帯は10bpm刻み(例:130-140、140-150)とし、
各帯のサンプル数も一緒に表示してください。
サンプル数が少ない帯については、
参考値であることを明記してください。
【時間帯の影響を確認する】
添付したFITファイルを、走り出した時刻で
「朝(8時前)」と「日中(8時以降)」に分類してください。
そのうえで、同じ心拍帯での平均ペースを
朝同士・日中同士で比較してください。
時間帯によるタイムへの影響がどの程度あるかを
教えてください。
「サンプル数も表示してください」の一文は入れておいたほうがいいです。
実際、心拍150-160の7月データは23分程度しかありませんでした。
サンプル数が見えていたので「これは参考値だな」と判断できました。
この見方の何が良かったか
ペースだけを見ていると、低強度の練習をしている期間は成長が見えません。「遅い」という結果しか出てこないからです。
心拍とセットで見ると、同じ負荷で前に進む力が変わったかどうかが分かります。
今回で言えば、心拍130〜140の領域で1か月に18〜37秒。この期間、タイムを狙った練習は一度もしていません。
「ゆっくり走っていても意味がある」とはよく言われますが、それを自分のデータで確認できたのは初めてでした。
8月に確かめたいこと
今回の結果を受けて、8月は2つのことを見ていきます。
①この改善が続くか
1か月で26秒は、正直できすぎな気もします。データの偏りかもしれないので、8月も同じ見方で確認します。
②涼しくなったらどうなるか
夏場のデータなので、気温の影響が大きく含まれています。秋に同じ比較をすると、また違う数字が出るはずです。
まとめ
・ペース同士の比較では、低強度期の成長は見えにくい
・「同じ心拍でどのくらいのペースか」を見ると変化が分かる
・心拍120〜130で1か月26秒短縮、130〜140で18秒短縮していた
・高心拍域は逆に遅くなっている(高強度練習をしていないため)
・時間帯を揃えないと数字が変わるので注意
低強度中心の練習をしていて「これで合っているのか」と思っている方がいたら、この見方を試してみてください。ペースの数字だけでは見えないものが出てくるかもしれません。
ただ、AIの分析は万能ではありません。
渡すデータが偏っていれば結論も偏りますし、指示を出し間違えれば、それらしい嘘のような答えが返ってくることもあります。
実際この記事を書く過程でも、条件を揃え直したら数字が変わった場面がありました。
冒頭でもお伝えしましたが、大事なのは正確な数値を出すことではなく、変化の方向を掴んで次の練習に活かすことだと思っています。
同じ見方を試す方も、参考程度に見てもらえたらと思います。



コメント